「おばけパズルWAKU(プロトタイプ)」は、
おばけパズルチームと小国町森林組合、
メディアアーティスト水落大さんで
挑戦したプロダクトです。
いくつかの問題があり、
製品にはなりませんでした。
でも、おもしろい挑戦だったので、
ここにその軌跡を記しておきます。
丸太をそのまま使って、年輪に沿っておばけを形作っていくパズル。 みたところ、良い感じですよね!?おばけパズルチームもそう思っていました。なんとかがんばってここまで形に出来た!よし!って。
こんなキャッチコピーも用意していました。
おばけパズルシリーズは、
30ピースの最難関「3030」が70分くらい、 一番簡単な5ピースの「HOME」が4分、 11ピースの「はがきサイズ」が6分、「SARA」が8分なので、 「WAKU」は20ピースで中級です!
おばけパズルWAKU(プロトタイプ)は、収縮が進み、
パズルピースがはまらなくなってしまうことがわかりました。
はまらないだけでなく、割れたり、反ったりもします
一般的に、木を切って丸太にすると、割れます。その理由は木に含まれる水が蒸発し、丸太が収縮していくこと。 そしてそのメカニズムについて、おばけパズルチームはほとんど知識がありませんでした。 薄く切れば大丈夫かな、というように思っていました。
よくよく調べてみると、
「一般的にスギ材は、他の樹種に比べて乾燥が難しいとされており、その要因として、
[1]初期含水率(乾燥直前の含水率)が高く、材によって含水率のバラツキも多い
[2]辺材(丸太状態での周辺部分)の含水率が非常に高く、心材(丸太の中心部分)との差がおおきくある」
「スギは、心材部で70~80%、辺材部で150~170%となっています。初期含水率が高いと乾燥に時間がかかり、乾燥コストが高くなってしまいます。」 (社団法人全国木材組合連合会のサイトより)
※ワク部分が縮み、割れることがある
※パズルを解かないでおいておくと、一番外のワクが縮んでしまい、ピースがはまらなくなることがある。 パズルを解き始めたら完成させてしまわない二度と完成できないかも・・・!
この2つがどうしようもない問題で、パズルとして成り立たないと判断しました。
おばけパズルWAKUは、木の年輪っぽいデザインでパズルを作ったらどうかな、という こんな感じのイメージから始まりました。
実際にやってみると、ピース数が少なすぎるのと、 大きさであまりに簡単にパズルが解けてしまうので、 もうちょっと難しくしてみよう!ということになりました。
そうして出来上がったのがこれ!
1,3,5,7,9,11ピースで36ピース!
おばけパズルの中ではこれまでで一番多いです!
ところが、これも実際に作ってみると、難しすぎたり、一番外枠が無くってずれていったりして、パズルを解くのが嫌になってきてしまうほどでした。
その後、デザインの調整を繰り返し、 1,3,5,7,9で25ピースにしてみたり、 外枠を用意してずれないようにしてみたり、
おばけをもう少しやわらかくしてみたりして、 20ピースに落ち着きました。
デザインのイメージと共に、このパズルを 丸太をカットして作ってみたいと思い、 いつものように小国町森林組合の方々と相談しました。
・丸太をレーザーカットで切りきれる?
・丸太は乾燥すると割れるので、どうなってしまうんだろう
・丸太はものによって木目が異なる
・丸太を薄く加工するのも難しい!
と最初から小国町森林組合の方から課題があるお話しがありましたが、でもやってみましょう!ということになりました。
まず、丸太を薄く切ってきれいに磨いていただきます。 丸太はごろごろ転がっていくので、スライスする機械にセットするのが難しく 板なら、製材機、製材機械でぎりぎり7ミリまでスライスして、 そこから磨きで3ミリまで落とせるのですが、 丸太は、頑張っても12ミリ10ミリまでしかスライスできません。
そこからさらに薄くするには磨いて(削って)うすくするしかなく、 手間がとてもかかります。
ただし薄くしないとレーザーカッターでカットできない! まずは8mmくらいを目標にすすめました。
最初の試作では木目の部分が固く、木目のところでカットが通らない。。
パワーをあげるとこんどはガタガタ、焦げ焦げ! 色々工夫してみたけれど、きりたてで水分も含まれているからか、 木目がしっかりと詰まっているからから、うまくいきません。
丸太をさらに5mmまで薄く削った上で、カットしてみました。
できた!!!
なんとかできました
しかし丸太は生きています。 ここで、冒頭の問題が発生し出しました。 まず、このまま保存したところわれてしまったものが出始めます。
難しさは・・?
出来上がったパズルをさっそくやってみます。
おおよそ10-12分くらいの難易度!ちょうどよさそう!
難易度を確認して、パッケージを作り始めました。
今回は、銀色に箔押ししたグレーの箱を用意しました。とても素敵な感じに仕上がりました。
ところが、まず、保存したところわれてしまったものが出始めます。
丸太も、保存していたところ割れてしまったモノがかなり出始めました。
それでもパッケージに詰めてみるイメージが仕上がってきたので、 説明書と一緒に詰め込んでみます。
そして、パズルが完成しないまま置いておいてしまったところ、
収縮が進み、パズルピースがはまらなくなってしまいました。
さて、おばけパズルは、メディアアーティスト / エンジニアの水落さんと共に、 丸太の輪郭・年輪を画像処理し、自動的におばけを生成するAIのような、 おばけ生成ソフトの開発も並行で進めていました。
まずは丸太をカットするための線を作る所から、 今までデザイナーさんが1つ1つデザインしていた形を、 コンピュータが自動で生成できるようにするにはどうしたらよいかを考えました。
これは初期のプロトタイプです(ぐにゃぐにゃとしたおばけのような線をつくるにはどうしたらよいかの実験)
次に丸太の形に沿ったパズルを生成できるように、丸太の形を取得します。
最終的に、丸太の大きさに合わせてパズルの大きさを調整し、角を丸くしたり、目が様々な方向につくようにする所まで自動化し、加工データをつくることができました。
おばけっぽさをだすための線の曲がりぐあいを調整できるようにしています。 これにより、それぞれ異なる1つ1つの丸太の表情に合わせて、 オリジナルのパズルが生まれる!ということを目標にしました。
このようにしておばけパズルWAKUは試作品を数点作製したところで開発を停止しています。 いつの日かまたお会いできると良いのですが! またね!